宅建業法

「宅建士証」に関する基礎知識

宅建士証の基礎知識

宅建士証」とはその持ち主が宅建士であることを証明してくれる身分証明書のことです。宅建士であれば、誰でも必ず持っています。

こちらでは、この「宅建士証」に関する基礎知識として、以下の4つについて説明します。

  1. 宅建士証の記載事項
  2. 宅建士証の有効期間
  3. 書換交付申請
  4. 提示・返納・提出義務

さっそく、「宅建士証の記載事項」から始めたいと思います。

宅建士証の記載事項

宅建士証の記載事項」とは宅建士証に記載されている情報のことをいいます。その具体的内容は以下の通りです。

  1. 宅建士の氏名・生年月日・住所
  2. 宅建士登録における登録番号・登録年月日
  3. 宅建士証の交付年月日
  4. 宅建士証の有効期間の満了日

上記の通り、宅建士証には所有者の名前、住所、生年月日のほか、宅建士証の有効期間などが記載されています。とりあえずはカンタンに、「車の運転免許証のようなものである」と考えるとよいでしょう。

なお、「宅建士の勤務先」は宅建士証の記載事項ではありませんので、注意してください。

宅建士証の有効期間

宅建士証の有効期間は5年です。つまり、新たに宅建士証の交付を受けたときから5年間、宅建士として仕事ができるということです。

有効期間満了後も引き続き宅建士として仕事を続ける場合、宅建士証を更新する必要があります。具体的には、登録先の都道府県知事に対して、新しい宅建士証の交付を申請します。

更新申請に際しては、初めて宅建士証の交付を受けるときと同じように「都道府県知事の指定する講習(法定講習)」を受講する必要があります。これは、更新の際に最新の実務に関する知識等を身に着けてもらうのがよいという理由からです。

更新申請が認められると、それまでの宅建士証と引き換えに、新しい宅建士証が交付されます。なお、この新しい宅建士証の有効期間も5年になります。

書換交付申請

宅建士証に記載されている名前や住所に変更があった場合、それに合わせて「宅建士証」の記載を書き換えてもらう必要があります。このための申請を「宅建士証の書換交付申請」と言います

例えば、宅建士であるAが引越しをしたため、宅建士証に記載されている住所に変更があったとしましょう。この場合、Aは自らの宅建士証の住所に記載されている引越し前の住所を引越し後の新住所に書き換えてもらうために、書換交付申請をしなければなりません。

なお、宅建士の氏名や住所に変更があった場合は「書換交付申請」と合わせて「変更の登録の申請」を行う必要があります。

これは、宅建士登録簿に登載されている名前や住所をそれまでの記載から新しいものに変更してもらうための手続きであり、その申請は登録先の都道府県知事に対して行います。

 

提示・返納・提出義務

宅建業法が定めている「宅建士証に関する義務」には、以下のようなものがあります。

①提示義務
②返納義務
③提出義務

それぞれの義務について、順番に説明していきます。

提示義務

まず、提示義務」とは、宅建士は一定の場合、一定の者に対して、自分の宅建士証を見せなければならない義務のことです。

具体的には、以下の場合に「提示義務」が生じます。

  1. 宅建士が重要事項説明をする場合、その相手方に対して、宅建士証を提示しなければならない
  1. 取引関係者から請求があった場合、その者に対して、宅建士証を提示しなければならない

①の「重要事項説明」は宅建士にしかできない仕事の一つです。この場合、相手方からの請求がなくても宅建士証を提示する必要があるという点に注意してください。すなわち、宅建士が重要事項説明を行う場合、相手から「宅建士証を見せてほしい」と言われなくても、自分の宅建士証を見せて重要事項説明をしなければならないということになります。

②の取引関係者とは「宅建士が仕事上かかわる人々」というイメージで理解すればOKです。例えば、宅建士Aが自分の勤務先である宅建業者Bのお客さんCから「あなたの宅建士証を見せて」を言われたら、Aは自分の宅建士証をCに見せなければならないということです。

なお、宅建業法がこうした「提示義務」を定めている理由は、宅建士でない者が宅建士になりすますことを防止する点にあります。

返納義務

次に、返納義務」とは、自分の宅建士証を交付を受けた都道府県知事に対して返却しなければならない義務のことです。

「返納義務」が生じる場合は以下の通りです。

  1. 宅建士証が効力を失ったとき
  2. 宅建士登録が消除されたとき

①は宅建士証の有効期間が満了した場合が該当します。宅建士証の有効期間が満了すれば、もはやそれを持っていても宅建士ではありませんので、宅建士証を返納しなければならないという理屈です。

また、宅建士登録が消除された場合、すなわち、宅建士登録が抹消されてしまった場合、その者はもはや宅建士ではありません。ですから、やはりこの場合も、宅建士証を返納しなければならないことになります。

なお、宅建業法がこのような返納義務を定めている理由は「宅建士でなくなった者が宅建士証を悪用するのを防止する」という点にあります。

提出義務

最後に、提出義務」とは、自分の宅建士証を交付を受けた都道府県知事に対して一時的に預けなければならない義務のことです。

「提出義務」が生じる場合は以下の通りです。

  1. 宅建士が事務禁止処分を受けたとき

事務禁止処分」とは、宅建士が悪いことをした場合の罰として、一定期間、宅建士としての仕事をさせてもらえない処分のことです。

このような事務禁止処分を受けた宅建士は、自らの宅建士証を一時的に交付を受けた都道府県知事に対して提出しなければなりません。もっとも、事務禁止期間が満了すれば、提出した宅建士証は、都道府県知事からすぐに返却してもらうことができます。

宅建業法がこうした提出義務を定めている理由は、「事務禁止処分期間中に宅建士が宅建士証を使って仕事をしてしまわないようにする」という点にあります。

まとめ

以上が「宅建士証」に関する基礎知識です。今日はここまでとします。お疲れさまでした。